第41回共同通信社杯GⅡは15日、決勝戦が行われて南修二のVで幕を閉じた。今大会は若手選手の出場が優先されるため、〝登竜門〟と呼ばれてきた。ただ、優先枠の113期以降の選手で決勝に勝ち上がったのはすでにタイトルホルダーの寺崎浩平を筆頭に、ナショナルチームの太田海也ら、すでにビッグレースで活躍している選手たち。新戦力の誕生といえるムードではなかった。
その中で躍進を印象づけたのが117期の鈴木玄人(東京)だ。今年になりコンスタントに好走していたが、6月平塚FⅠ優勝で勢いをつけ、初のビッグレース出場となった8月オールスターでは3日間3連対で準決勝に進出。最終日も1着で存在感をアピールした。「みんな強過ぎてヤバイです。自力で通用する気がしません」と話したが、ヨコの動きを交えた立ち回りは俊敏そのもの。3走目の準々決勝Aでは屈指のさばきを誇る古性優作の内をすくい先着を果たすなど、持ち味全開だった。
2場所欠場して2回目のビッグレース参加となった共同通信社杯初日は4着に終わったが、2日目二次予選では捲ってきた選手の番手を飛ばし、切り替え抜け出しの1着と苦しい展開から見事1番人気に応えた。それでもレース後は年上の佐々木悠葵から前を任されなかったこともあり神妙な面持ちで「自分の自力自在の走りにうそはつけないですが、関東地区の味方に信頼してもらえるようになりたい」と気持ちを込める。
準決勝は最終バック2番手の好ポジションにいたが、決勝進出はならず。「経験不足を感じました」と、反省を生かして次こその期待がかかる。スピード全盛の今の競輪で、鈴木の走りは以前のさばき重視の競輪をほうふつさせる。〝玄人〟も、うならせる個性派としての走りに注目したい。